研究紹介- 青柳 吉輝 -


バルクナノメタルの数値シミュレーション

私たちの身の回りの構造用金属材料のほとんどは、異なる結晶方位をもつ結晶粒が集まった多結晶体です。その結晶粒の大きさを小さくしていくと、種々の機械的力学特性が向上するということが経験的に知られています。最近では材料特性の飛躍的な向上を目的として様々な巨大ひずみ加工プロセスが考案され、結晶粒径が1µm以下という均一なバルク状金属系材料「バルクナノメタル」が創製可能となっています。ここ十数年の間、バルクナノメタルに関する研究が数多くなされ、バルクナノメタルが従来の金属材料学の常識を覆す特性を示すことが明らかになりつつあります。
バルクナノメタル中には結晶粒界が高密度に存在し、それらが転位や点欠陥などの格子欠陥と相互作用しているため、バルクナノメタルの諸特性が通常の粗大結晶粒材料のものとは大きく異なることが予想されます。本研究室では、粒界や転位源といった結晶構造に関する原子スケールと、構造体を巨視的に捉える連続体スケールといった異なるスケールの現象を同時に表現するモデル、すなわちマルチスケールモデルに基づき、結晶粒の複雑な振る舞いを計算シミュレーションによって解析していきます。さらに実験によって得られたデータと計算的研究とを融合させ、新しい知見を生み出すことを目的とします。
実験では測定困難な材料の微細構造の変化や材料特性の予測などを数値解析的に表現することによって、これまでは独立に行われることの多かった材料科学分野における実験的アプローチと固体力学分野における計算力学的アプローチの相補的協力を行っています。バルクナノメタルの実用化が実現されれば、工業分野への多大な貢献のみならず、環境・エネルギー問題を解決へと導く大きな推進力となることでしょう。

   
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