研究紹介- 小原 豊志 -


アメリカ民主主義と黒人選挙権問題の史的研究

 主として、19世紀のアメリカ史を政治史的観点から研究しています。特に、黒人選挙権問題の歴史的展開を追跡することが、私の修士論文以来の一貫した研究テーマです。当初、私は19世紀末の南部において展開した黒人選挙権剥奪運動を研究していましたが、研究を進めていくうちに、黒人選挙権問題は植民地期にまで遡ることのできる極めて歴史的な問題であることが判明しました。すなわち、黒人選挙権問題は、自由黒人(奴隷身分に属さない黒人)に選挙権を付与するか否かをめぐって南北戦争以前から存在していた問題だったのです。よく知られているように、この時期には、大半の州で白人男性の選挙権が拡大されたのですが、それと同時に黒人選挙権は拒絶されたのでした。現在は、このような現象が生じた理由を特殊合衆国的連邦制度と当時の人種意識を視野に入れつつ検討しています。                  以上要するに、私の研究は、黒人選挙権問題の19世紀的展開の分析を通じて、アメリカ民主主義を再検討することにあります。


URLhttp://www.intcul.tohoku.ac.jp/american/faculty.obara.htm


アメリカ合衆国における人民主権論に関する研究

現代の世界各地で台頭しているポピュリズムは大衆迎合的な政治手法として民主主義の脅威とみなされる傾向にあります。しかし、ポピュリズムという名の由来は19世紀末の合衆国で展開した主体的な農民運動にあり、この運動の担い手は生産者階級としての矜持から「ポピュリスト」と自称してアメリカ独占資本主義に挑戦したのでした。本研究は、こうした合衆国の草の根型ポピュリズムに通底する主権者意識の源泉を探るべく、建国期以降に構築された多様な人民主権論に着目し、それらの異同と拮抗を明らかにすることにより、合衆国における主権者意識の構築過程を解明しようとするものです。
その際、本研究が注目するのは「反乱」とみなされてきた反政府闘争です。本研究では「反乱」を非合法的行為ではなく、異質な人民主権論の拮抗が顕在化した現象とみなし、「反乱」を「起こした/制圧した」論理のそれぞれを分析することによって、それぞれの人民主権論における主権者概念を明らかにします。とくに本研究では1840年代のロードアイランド州で勃発した「ドアの反乱」に焦点を当て、この制憲闘争を「起こした/制圧した」論理を分析することにより、アメリカ立憲主義の歴史の中にこの出来事を位置づけたい考えています。さらには、「反乱」という形態をとったポピュリズム運動の史的特質を人民主権論との展開過程に位置付けて再検討することにより、ポピュリズム運動の功罪を明らかすることを目指しています。これにより、合衆国のみならず日本をはじめとする世界各地におけるポピュリズム運動に対する客観的な視座を提供することが本研究の最終目標です。




アメリカ合衆国における人種意識の構築過程に関する研究

近年、アメリカ合衆国において白人や黒人などといった「人種」は先天的カテゴリーではなく、歴史的かつ社会的な構築物であるとする見方が一般的になっています。本研究ではとくに、黒人差別の根底をなしてきたと考えられる白人民衆の人種意識、すなわち、「白人性」意識に注目し、その構築過程と考えられる南北戦争以前の人種関係史を追跡しています。
   
戻るこのページのトップへ
copyright(c)2005 Tohoku University