研究紹介- 高倉 浩樹 -


東日本大震災と無形文化遺産に関する人類学的研究

東日本大震災によって東北地方を中心とする農村部においては民俗芸能・祭礼・生業などの地域に継承されてきた文化遺産が大きな被害を受けた。このユニットは、指定・登録(民俗)文化財を含む、より幅広い意味での文化遺産を地域社会がどのように継承・発展させていくのか調査研究を運営するとともに、その支援や地域開発に人文学がどのように貢献できるのか実践的取り組みを行いながら、災害に関わる応用人文学の方法の開発を設置目的とする。文化人類学・民俗学・宗教学などの質的社会調査を行う研究分野の共同によって現状分析を行う共同研究を運営するとともに、情報科学・教育学・博物館学などとも協力することで、被災した当該地域社会の文化遺産に関わる地域支援及び文化財行政支援に関わる実践と理論開発を行う。これらを通して、災害対応に関わる人類学・民俗学・宗教学などの人文学の牽引的組織・拠点的組織となることを目指す。
URLhttp://www.cneas.tohoku.ac.jp/news/2014/unit02.html


気候変動とシベリア地域に関する文理融合的研究

本研究の目的は、シベリアと北米の極北圏において共通して発生する春の氷融洪水に地域社会がいかなる対応をしているか、人類学・土木工学・リモートセンシングの手法を用いて明らかにすることを通して、極北圏の巨大河川の存在を前提にした人間社会の特徴を示すことにあります。シベリアの生態系というと、ツンドラ、タイガを思い浮かべることが多いかもしれませんが、北極海にそそぐ巨大な河川とこれに関わる無数の支流が形成されていることも大きな特徴のひとつです。そして、極北圏の人間社会の特徴には、この大小様々な河川の動態を調整することで成り立っているという側面があります。特に重要なのは川幅数キロに渡るような大河川が冬期に凍結し、春には解凍するが、上流が南、下流が北という特質故に、氷融そして雪解けを原因とした洪水(氾濫)が春期に恒常的に発生していることです。そして、シベリアの都市・農村いずれの場合であっても、そうした河川の生態系を前提として形成されているのです。本研究では、この氷融洪水への社会的対応を、ローカル社会の在来的知識や民俗伝承という観点、さらに道路や水道などの近代的社会インフラ技術という観点から接近することで明らかにしていきます。さらに、リモートセンシングの手法を用いることでその洪水の空間的理解を深めることが可能になります。そして、このことを通して、氷融洪水を前提としたシベリア地域社会にみられる生態的特質と社会技術との関係を明らかにします。さらに、シベリア地域社会の理解を深めるために、本研究では類似した生態条件にある北米極北圏も比較の対象にいれています。そのことで国家体制や民族集団といった相違を踏まえ、極北圏の巨大河川という生態系のなかで形成された人類社会の特徴の解明が可能になると考えています。
URLhttp://www.cneas.tohoku.ac.jp/news/2013/unit05.html


応用映像人類学と展示実践

展示実践を用いた研究成果の社会還元が異文化理解の実践的文脈においていかなる社会的意味をもつのか、また人類学の方法論においていかなる効果をもつのか、探求することにあります。人類学の調査によって得られた研究成果はだれのものか?という問いかけに対して、研究者コミュニティ、研究者の属する一般社会、そして被調査社会の3つのコミュニティにおいて共有される必要がある、というのが近年の人類学の共通した解答であるといえるでしょう。本共同研究では、民族誌資料の社会的な有用性を検討する、公共人類学の問題意識を共有しつつ、実際に何らかの形で展示実践を行ってきた研究者をメンバーとして、資料を通じた異文化理解、それがどのような公共的意義を持つのかを検討し、展示実践を通じた現地調査の理論と方法論への貢献を目指します。
URLhttp://siberiaunit.blog.fc2.com/blog-entry-8.html


ロシアにおけるナショナリズムと先住民運動

ソ連崩壊の一因を形成したのは、各地のナショナリズムの台頭である。本研究では、文献研究によって、1980年代後半以降、旧ソ連各地でおきたナショナリズムを宗教及び伝統文化復興という観点から整理しつつ、それと同時にフィールド調査によって集められた資料によってロシア連邦サハ共和国のサハ人のナショナリズム運動について分析した。その際、重要だったのが、ソ連時代の民族政策・文化政策及び民族関連法規の影響である。これらには「民族」の定義及び民族の「史的唯物論的」段階化の規定が含んでおり、その理解なくして、現在の民族範疇の動態的性質そのものが理解できないことを明らかにした。
   
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