研究紹介- 三輪 浩司 -


ハドロンビームを用いたエキゾチックハドロンθ+の生成および幅に関する研究

現在、クォークとグルーオン間およびグルーオンとグルーオン間に働く強い力は量子色力学(Quantum Chromodynamics, QCD)によって記述されると信じられています。高エネルギー領域ではQCDの摂動的な取扱が可能であり、QCD計算といくつもの実験結果でよく一致した結果が得られています。一方で低エネルギー領域に目を向けると QCDによってハドロンの質量やハドロン間の相互作用も記述されなければなりません。しかしQCDの非摂動的な振舞からまだQCDのフレームワークは発展段階であるといえます。もっともナイーブなクォークモデルではバリオンは3つのクォーク(qqq)、メソンはクォーク・反クォーク対(q \\bar(q))からなると考えており、この最も簡単なモデルでもハドロンの電荷、スピン、パリティなどを理解することができます。またハドロンの質量もクォーク間の有効相互作用を取り入れることによって計算されてきました。このようなフレームワークを用いると、エキゾチックな粒子、例えばテトラクォーク(qq\\bar(q)\\bar(q))、ペンタクォーク(qqqq\\bar(q))、ハイブリッドメソン(q\\bar(q)g)、ダイバリオン(qqqqqq)などが理論的に予言されてきました。 QCDは粒子はカラーシングレットであることを要求しており、クォークの数については何の制限もしていないからです。このようなエキゾチック粒子を発見し、その性質を調べることは新たな見地からクォーク間の動力学についての理解を深めることにつながると思います。

このような中で2つのuクォーク、2つのdクォークおよび1つの反sクォークから成る
ペンタクォーク Θ+についての報告がSPring-8/LEPS Collaboration(T.Nakano et al.) によって最初になされました。質量は1540MeVで幅は実験の分解能で制限されており上限値として25MeVが与えられました。すぐさまCLAS、DIANA、SAPHIRなどの Collaboratoinによっても確認されました。 SPring-8/LEPSの解析の動機はD. Diakonov et al.によるchiral soliton modelによる予言によるものでした。

本研究ではペンタクォークΘ+をハドロン反応を用いて探索することが大きな目標の一つです。 Θ+の実験的なデータの多くは光生成によるものです。一方で、エネルギーが生成閾値付近のハドロン生成を用いたデータは K+ビームとXeバブルチェンバーを用いてK0pの不変質量から Θ+の報告をしたDIANAコラボレーションと、 pp→Σ+K0pという反応でK0pの不変質量からΘ+の報告をした COSY-TOFコラボレーションの2つのみです。現在、スピン、パリティ、幅などのΘ+の物理的特質は実験的に決定されておらず (現在の時点ではΘ+の存在を確立するためにも様々な実験データが必要といえます)、これらを調べるためには更に多くの統計が必要になります。一般的にいって光生成にくらべハドロンを用いた反応は生成断面積が大きいことが予想され、π-やK+といった中間子を用いた反応によってΘ+を生成し、研究することは非常に重要であるといえます。
本研究では
π- p → K- Θ+
および
K+ p →π+ Θ+
という2つの反応でθ+の探索実験を行いました。
URLhttp://lambda.phys.tohoku.ac.jp/~miwa9/e522/index.html
   
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