研究紹介- 水野 健作 -


細胞骨格、細胞運動を制御するシグナル伝達機構

アクチン細胞骨格の再構築は細胞運動をはじめ、接着、極性形成、形態変化、分裂など細胞の基本活動を支える中心的な役割を果たしている。細胞運動は創傷治癒、炎症反応、胚発生、器官形成、血管新生、神経回路形成、癌細胞の浸潤・転移など多くの生理的、病理的現象の基盤となっている。したがって、細胞骨格、細胞運動を制御するシグナル伝達機構の解明は、癌や免疫疾患など多くのシグナル伝達病の病因を理解し、癌転移の阻止、血管新生、神経再生など新たな治療法を開発するうえでも重要である。私たちの分野では、これまでに、アクチンフィラメントの脱重合因子であるコフィリンをリン酸化、脱リン酸化する新規なプロテインキナーゼ(LIM-kinase, TESK)とホスファターゼ(Slingshot)を同定し、アクチン細胞骨格の再構築を制御する新しいシグナル経路の解明を進めてきた。コフィリンはアクチン骨格の再構築制御の中心的な役割を果たしており、これらの経路は、細胞外シグナルとアクチン骨格の制御をつなぐ最も重要な経路の一つであると考えられる。私たちの分野では、さらに新しいシグナル経路の解明と細胞骨格の時間的空間的制御機構の解明を目指すとともに、癌細胞の浸潤・転移、白血球の遊走、血管新生、神経ガイダンス、細胞質分裂におけるこれらのシグナル経路の役割と分子機序の解明を目指している。現在進めている主な研究テーマは以下の通りである。1)細胞骨格、細胞運動、細胞極性を制御するシグナル伝達機構。2)蛍光イメージングによる細胞骨格の時間的・空間的制御の可視化。細胞運動、神経ガイダンス、細胞質分裂などにおける生細胞内でのシグナル分子の動態の可視化やアクチン骨格のダイナミクスの解析。3)癌細胞の浸潤・転移機構。ErbB2受容体型チロシンキナーゼのリガンドやケモカインSDF-1による癌細胞の運動能の亢進の分子機構の解明と阻害剤の開発。4)神経回路形成と神経再生機構。神経ガイダンス及び神経再生を制御する分子機構の解明。5)細胞質分裂の制御機構。細胞分裂時の収縮環の形成、収縮、消失の分子機構の解明。
URLhttp://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/mizuno_lab/
   
戻るこのページのトップへ
copyright(c)2005 Tohoku University